クロスボウを所持する方法

使用用途について

 クロスボウは2022年3月15日より銃刀法の対象となり、所持許可を得られない限りクロスボウを所持する事ができません。

 所持目的は「狩猟」「有害鳥獣駆除」「標的射撃」「動物麻酔」「漁業」をはじめ、いろいろ項目があります。
 このうち実質選べる項目は「狩猟」「有害鳥獣駆除」「標的射撃」です。動物麻酔や漁業は極々限られた場所や場面でしか使えませんのでここでは除外します。

 残りのうち狩猟や有害鳥獣駆除についてですが、実は鳥獣保護管理法で矢の狩猟が禁止されています(この段階で大きな矛盾を感じますが)。
 これに関しましては講習会でお伺いしたところ、所持目的に項目はあるものの実質選ぶことはできないだろう、との事でした。
 クロスボウの法的制限が始まったばかりという事もあり、法解釈があやふやな事も多いようです。

 よって現状においては狩猟や有害鳥獣駆除での使用も認められることはありません。

 結果として、現在クロスボウを所持するためには「標的射撃」しか選べません。
 つまり、クロスボウを所持するためには選手となり大会に参加し競技を行う以外の方法がありません。

 個人で所持をして個人的に射撃を行う事は認められていませんのでご注意ください。

クロスボウの団体・大会について

 2022年現在、クロスボウの競技を主催する団体は2つあります。
 1つは全日本クロスボウ協会、もう1つは日本ボウガン射撃協会です。

 ふたば洋弓組合も過去に試合を行っていましたが、現在は会場の確保が出来ていないため試合を行う事ができません。
 現在試合会場の確保に向けて動いてはいますが、いわゆる地方大会的なポジションになると思います。
 例えるなら協会主催は全国大会、組合主催は地方の市民大会のイメージでしょうか。

 全日本クロスボウ協会はカジュアル向けで国内大会を主催しており、日本ボウガン射撃協会はいわゆる本格的な大会を開いており、国際競技団体にも加盟して国際大会にも加盟選手が出場しています。

 ふたば洋弓組合は全日本クロスボウ協会に加盟しています。

 クロスボウの所持許可を取得するためには、実質この2協会のどちらかに加盟する必要があります
 またどの協会に所属するかにより、入手すべきクロスボウの種類が変わってきます。ですのでクロスボウを所持しようとする人は、まずカジュアルな大会に出たいか本格的な大会に出たいかを決めなければいけません。

 気軽にクロスボウをしたい方は当組合かクロスボウ協会へお問い合わせください。

 もし本格的な大会に出たいのであれば日本ボウガン射撃協会にその旨を相談してみてください。恐らく協会に所属する地元の団体を紹介してくれると思います。

各団体の特徴と競技会場

 前項の通り、現在「全日本クロスボウ協会」と「日本ボウガン射撃協会」の2つが大会を主催する団体として存在します。

全日本クロスボウ協会 の特徴

  • 試合でカジュアル向けのクロスボウが使える。
  • 試合でライフル型の他、ピストル型も使える。
  • クロスボウ本体は比較的入手可能(ただし銃刀法に基づく手続きが必須)。
  • 大会会場が大分にあり、遠い。

日本ボウガン射撃協会 の特徴

  • 試合は競技用クロスボウのみ。カジュアルタイプが使えない。
  • クロスボウ本体の入手が困難。団体に所属してそこから斡旋されないと入手が無理(銃刀法に基づく手続きも必須)。
  • 東海大学と連携しており、静岡や東京に射撃場を有する。
  • 成績次第で国際大会への出場も可能。

ふたば洋弓組合 の特徴

  • 試合でカジュアル向けのクロスボウが使える。
  • 試合はピストル型が中心。
  • 大会会場は三重だが、現在指定射撃場の認可を受けていないため射撃ができない。
  • 組合だけでなくクロスボウ協会に入会する必要がある。

 選手として試合にでるためには、組合を除くどちらかの協会に所属する必要があります。

クロスボウの販売元について

 ここからはクロスボウの購入と警察への相談について、説明をしていきます。
 なおここでは全日本クロスボウ協会へ所属する事を前提に話をします。日本ボウガン射撃協会へ所属する場合は割愛します。

 現在国内でクロスボウを販売する業者はほんの一握りしかありません。以前はamazonなどの総合ネットショップで簡単に購入ができましたが、クロスボウが銃刀と同じ扱いとなった現在ではそれらを買うことはできなくなりました。万が一購入できる場合は違法業者となります(通常はいくつかの手続きが必要なためすぐには購入する事ができないのです)。

 購入ができる業者は全日本クロスボウ協会のHPにアクセスをいただくとトップページに「全日本クロスボウ協会加盟店」とあります。こちらから購入するのが間違いがないでしょう。

amazonなどの通販で直に買わないでください!

 いろいろ調べたところ、検索の仕方によってはamazonなどで普通に注文ができる恐れが出てきました。
 だからといって購入をした場合、銃刀法違反に問われる恐れがありますので十分ご注意ください。

 理由は次の通りです。

 amazonや中国系通販サイトは世界中の人々が顧客となります(この点が楽天やyahooショッピングとの大きな違いです)。よって日本から注文が入れば他の国の人と同様に販売をします。
 我々は日本国内にいるため当然国内法の影響を受けていますが、販売元はアメリカや中国などの海外のため、販売自体は国内法の影響を受けません。
 本来私たちがクロスボウを購入する際には、購入する前に譲渡等承諾書や警察への申請などが必要です。
 しかし海外の販売元にとってこれらの書類は必要ありませんし、顧客から書面を求められても用意する義務はないのです。しかし購入手続きは出来てしまいます。
 結果、何も書類がそろわないのにクロスボウが手元に届いてしまう訳です。当然購入者は法律違反ですが、販売元は法律違反には問われないのです。

 うかつに手を出すと痛い目を見ることはお分かりいただけますでしょうか。十分お気をつけ下さい。

クロスボウの種類

 販売業者のHPにはいろいろなクロスボウが掲載されています。いろいろな種類がありますが、ここでは本当に大雑把な分類をします。

コンパウンドボウ

 弓に滑車が取り付けられており、より強い張力の弓を軽い力で引っ張る事ができます。
 射撃距離が伸びたり機構が複雑でメンテナンスが大変であったり射撃時の怪我のリスクがあるため、現在のところクロスボウやアーチェリーの試合であまり使われていません。
 組合主催の試合は射撃距離が確保できないため、コンパウンドを禁止しています。
 現在のところは協会主催の大会でしか使えないと思われます。

リカーブボウ

 弓に滑車がついていないタイプで、基本的な構造はアーチェリーと同じです。
 競技において主流となるタイプです。

フルサイズクロスボウ

 ライフルのような形状をしたタイプで、カジュアルタイプならびに競技用タイプはこの形となります。
 弓の威力は150ポンド~210ポンドが多く、金額はカジュアルタイプが約6万から、競技用タイプが20万からとなります。

 規制前と比べて値段が1.5倍以上に跳ね上がりました。仲間を見つけて中古を探すのも手でしょう。中古であれば市場価格の半額以下も見つかると思います。

ピストルクロスボウ

 ピストルのような形状をしたタイプで、カジュアルタイプしかありません。
 弓の威力は60~80ポンドが多く、金額は約2~3万からとなります。

 こちらも規制前に比べて値段が1.5倍以上に上がりました。

 全日本クロスボウ協会準拠の試合の場合、カジュアルタイプのリカーブライフル型が主流となります。ピストル型も試合に参加できますが、恐らく競技者がかなり少ないと思います。

 ピストル型を主とした競技は当組合しか主催していませんでしたので、なんとかして大会を再開したいと考えています。

クロスボウが高い訳

 どうしてクロスボウがここまで高くなったのでしょうか。

 理由はお分かりだと思いますが、供給量が激減したこと、需要量がそれ以上に激減したこと、中古市場が壊滅したことが挙げられます。
 ご存じの通り法規制に合わせてクロスボウの回収が警察で行われました。
 愛知だけでも100本をゆうに越えるクロスボウが回収されています。これらが中古市場に残っていれば少しは金額が下がっていたと思われます。

 が…しかたがありません。

 また、為替レートの都合もあります。
 以前は1ドル=110円程度でしたが、一時期は1ドル=140円以上となりました。200ドルのクロスボウが22000円から28000円になるわけです。
 これに関税や取り引きでかかる諸経費が上乗せされますので、かなり高額になります。

クロスボウ購入の手順

 手に入れたいクロスボウが決まったら次の手順を踏みます。

  • その店でクロスボウの購入を申告します(オンラインショップの場合は購入手続きを進めます)。
  • お店の方から「譲渡承諾書」等の書類を作成してもらい、手渡しまたは書留などで送ってもらいます。
  • この譲渡承諾書と他に必要な書類を揃えて警察に所持許可の申請を行います。手続きの詳細については下記で解説をします。
  • 【中略】この間がかなり長く、苦労をします。がんばってください!
  • 所持許可が下りたら証書の原本や本人確認書類の写しなど(店舗によって提出書類が多少異なります)をお店に提出または送ります。
  • お店で手続きを行い、最終的には本人限定の小包などで品物を受け取ります。
  • クロスボウが手元に届いたら警察に再度連絡をして改めて書類を作成し、銃検(確認がされない場合もあります)を経て個体識別シールを発行してもらいます。

 これが主な流れとなります。手続きの詳細は店舗や各警察署によって微妙に異なりますので、必ず相談をしながら作業を進めていってください。

団体への入会時期

 協会へはクロスボウ取得前に入会する事をお勧めします。

 といいますのは警察で取得手続きを進める上で、必ずどこの試合に出場する予定かを聞かれるためです。
 この段階でどの協会にも所属をしていないと、試合に出場するつもりがないのではと思われかねません。お気をつけ下さい。

代行業者は極力避けてください

 手続きが面倒くさいとお考えのあなた。

 気持ちは分かりますが、ことクロスボウの所持に関しては行政書士などの代行業者に委託するのは避けた方がよいと思います。
 クロスボウの所持手続きは前例がない事と、銃刀法における銃の所持許可と同じレベルの煩雑さがある事と、基本的には本人しか手続きが取れないので、ほとんど代行業者の出る幕がないためです。

 代行業者に依頼するのであれば、素直に警察の生活安全課や保安係などの銃刀法を扱っている部署に予約を取って相談した方が時間がかかるかもしれませんが、手続きが正確です。

 次は警察への届け出手順について解説をしたいと思います。

クロスボウが持てる条件

 クロスボウを所持するためには次の欠格事項にあてはまらない必要があります。また、欠格事項以外に事実上必要な条件もあります。

■欠格事項

  • 18歳に満たない者(例外あり)
  • 禁錮以上の刑の執行を終えてから5年を経過していない者
  • 統合失調症や躁鬱病など精神的な病気にかかっていたり認知症の者(※)
  • アルコールや覚醒剤などの薬物中毒、心身耗弱者(※)
  • 住所が定まっていない者
  • 過去に一定の犯罪歴のある者や、所持許可の取消処分等を受けた者
  • 暴力団関係者(※)
  • ストーカー行為や配偶者暴力行為をした者、その他人の生命、身体若しくは財産若しくは公共の安全を害し、又は自殺のおそれのある者(※)
  • 同居の親族に上記※に該当する者がいる場合

■明記されていないが、事実上必要な条件

  • 試合を主催する協会に所属している事(=出場する試合がはっきりしている必要がある)
  • 身内以外の近所さんと交流がある事(=身辺調査の際に身内の他に近所さんに人となりを聞かれる)
  • 身内や近所さんと大きなトラブルを抱えていない事
  • 生活に困窮するほどの借金ほか負債がない事
  • 平日に何度も警察署へ足を運べる事(=土日は生安課は開いていませんので呼び出しは昼間ばかりとなる)
  • 初心者講習に参加できる事(講習は基本昼間に行われます)

 以上の条件をクリア出来る人でないと、所持許可はなかなかおりません。

警察での手続きの流れ

警察へ行く前に

 警察に所持許可の申請を行う前に、クロスボウの基本的な知識を得ておく必要があります。
 ここでいう知識とは、クロスボウ自体の仕組みや射撃方法だけでなく、試合のルールや競技者に関する現状なども知識に含めます。
 まったく何もしらないままで「クロスボウを所持したいです!」と言って警察に飛び込んでも話がまったく進まない事でしょう。

 これらは幸いにもインターネットで調べればある程度分かりますので、まずは調べて見てください。または協会などに相談をしてみてください。

 また前述の通り、販売店から譲渡承諾書を先に入手する必要があります。
 ただし販売店や都道府県警によりこの方針がまちまちで、先に警察である程度手続きを進めなければいけないケースもあるようです。この辺りは臨機応変にご対応ください。

手続きの流れ

 いきなり警察に所持許可の申請をしてもまず通りません。次の様な手順が必要となります。

① 地元の警察署生活安全課などに「クロスボウの所持許可について相談したい」旨の問い合わせをしてください。日時を定めて担当者と面談する事になります。

② その際に所持許可までの流れについて話を聞くことになります。

 クロスボウに関する手続きは我々もですが、警察も初めての経験となりますので、事ある毎に県警に問い合わせをするなどしてかなり時間がかかると思います。
 お互い初めての事ですのでのんびり長期戦を覚悟してください。

③ 申請に必要な書類や様式について説明があります。これらの話を元に書類を作成もしくは集めてください。

 必要な書類の具体的な中身につきましては、ほとんどのケースで各都道府県警のHPなどで公開されていたりダウンロードができます。また説明を受けた警察署で用紙をいただける事もあります。
 身分証明書の発行が必要となりますが、この書面は本籍地でしか発行ができません。
 本籍地が遠方の場合は取りに行くためにかなり時間がかかりますので、余裕を持って行動しましょう。

④ クロスボウの初心者講習会を受講します。

 講習は年に数回しか行われませんのでタイミングによっては数ヶ月待つことになります。
 受講料は6900円の県証紙となります。また講習最後にテストがあり、およそ8割合格となります。

⑤ 担当者と相談しつつ、必要な書類が集まりましたらお金(10500円の県証紙)を揃えて所持許可の申請となります。

⑥ 申請の間、保管場所や身辺調査があります。

⑦ 許可が下りましたら所持許可証が交付されます。

⑧ 交付から3ヶ月以内にクロスボウ販売業者に手続きを進めていただき、手元にクロスボウが届きます。

 具体的な手続き方法は販売業者にご相談ください。

⑨ 警察にクロスボウを所持したことを申し出て、クロスボウに付けられる登録番号の書かれたシールを貼りに警察署に行きます。

これでひとまずクロスボウを所持する事ができる様になります。

許可されるまでの期間

 タイミングや諸条件によって変わってきますが、警察に相談をしてから取得までにおよそ3ヶ月~1年ほどかかります。
 幹事の場合、最初の問い合わせから許可がおりるまで約1年半かかりました。これは射撃場の確保にかなり手間取ったためです。

 猟銃などもそうですが、銃刀法の制限下で初めてクロスボウを手に入れるためにはこれだけの手間がかかります。
 ある程度の覚悟が必要なのかもしれません。

 クロスボウの許可を得て試合に出てみたいと思っている方がおられましたら可能な限りサポートいたします。
 お気軽にお問い合わせください。